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『がん治療の常識・非常識』を読んで、初めて知ったこと

がんは完治するのだろうか?(3)

がん治療の常識・非常識―患者にとっての
最良の選択とは? (ブルーバックス) 田中 秀一

を読んで、主要ながん治療成績は数十年前と
ほとんど変わっていないことに愕然としました。





前回は、「放射線治療」についてお伝えしました。

今回は、がんは完治するのか、という核心部分について

お伝えしていきます。


結論からお話しますと、現時点では、がんを完治することは

できないのです。数ヶ月の延命は可能になってきています。

しかし、完治することはできないのです。


そう言うが、「治っている人がいるではないか」と反論が

出そうですね。

実は、なんの治療もしないで、放っておいても治るがんが

あると言うのです。


そして、もう一度言います。数ヶ月延命したことは、完治とは

違うということです。


手術や放射線で治療しても、がんの半数は治すことができない。

抗がん剤で治すことができるがんは白血病など一部に限られ、

肺がん、胃がんなどほとんどの固形がんは、抗がん剤では

治らない。これらの「三大療法」に限界があることから、他の

治療法に期待が高まっている。その代表が免疫療法だ。

(P.146) 



期待が高まっている免疫療法ですが、残念ながら成果を

あげていません。


どこに問題があるのでしょうか?

第一は、がん細胞の表面にある抗原を、がん自らがベール

で覆い隠してしまうことだ。こうなると、免疫細胞はがんを

異物と認識することができず、攻撃できない。

次は、がん細胞が、リンパ球の働きを弱めるサイトカイン

(生理活性物質)を出すことだ。サイトカインは細胞外産生

して別の細胞に働きかける物質のことで、たとえばヘルパー

T細胞は、異物を攻撃するB細胞の働きを強めるためにサイ

トカインを出す。がん細胞が出すのは、逆にリンパ球が働け

ないようにする、いわば毒のサイトカインだ。

さらに、がん細胞は、免疫を抑えるリンパ球を集め、自らを

守る手立ても心得ている。リンパ球は通常、異物を攻撃する

のが仕事だが、勢力があまりに強すぎると、自己を攻撃する

など不都合もある。(P.153)



つまり、がん細胞は“賢い”ということです。

がんについて、国立がんセンターの高上部長は次のように

説明しています。

がんは、レーダーに映らないステルス爆撃機の

ように、身を隠すステルス機構を幾重にも持っている。このため、

免疫療法によるリンパ球の攻撃をすり抜けることができる。

(P.153)



がんの早期発見のためにがん検診が薦められていますが、

有効性はあるのか、という問題です。

「早期発見がそのまま完治には役立っていることを意味しない」

(P.166)のです。


「どのような治療を駆使しても、がんの半数は治すことができ

ない」(P.192)のであれば、痛みなどの苦痛を和らげる「緩和ケア」

を重視した方がいい、というのが著者の主張です。


さらに、がんで死ぬことは悪いことなのか、と読者に問いかけて

います。

その理由は以下のとおりです。

がんは心臓病のように突然の死に至る病気ではない。仕事などで

やり残したことを完成させたり、整理したりでき、家族らと

ゆっくり過ごすこともできる。本人も周囲の人も、心の準備を

する時間を持てる。

脳卒中や心臓病、アルツハイマー病より、がんのほうが最後の

迎え方としてはよいと考えることもできる。

どんな病気であれ、若い世代での死は周囲の悲嘆も大きいが、

ある程度の年齢になれば、がんは悪い死に方ではない。

(PP.204-206)



この本を読んで、いろいろなことを考えさせられました。

今まで、がんで死ぬのは嫌なことだ、と思っていました。

がんにならないことばかり考えて、食事に気をつけたり、

ストレスを溜め込まないことに注力してきました。

でも、がんで死ぬことは悪いことばかりではないな、と

言うのが現在の率直な感想です。


この本が出版されたのは、2008年4月20日です。

その後のがん治療の最前線は大きく変貌しているかも

しれません。


今後もがん治療について追究していきます。



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『がん治療の常識・非常識』を読んで、初めて知ったこと

がんは完治するのだろうか?(2)

がん治療の常識・非常識―患者にとっての
最良の選択とは? (ブルーバックス) 田中 秀一

を読んで、主要ながん治療成績は数十年前と
ほとんど変わっていないことに愕然としました。





前回、がん治療には大別すると3つある、と

お伝えしました。「手術」「放射線療法」「抗がん剤治療」です。


田中さんは、この中で「放射線療法」は軽視されてきた歴史があると、

述べています。ところが、「最近、放射線治療の技術が格段に進歩した

こともあり、ある種のがんでは手術に代わる治療法となってきた」

(P.118)そうです。


そもそも放射線とは何でしょうか? 東日本大震災以後、

福島第1原発事故の報道で、放射線の危険性が叫ばれています。


放射線とは、陽子、中性子、電子、イオンの形になった原子核

など原子を構成する要素の流れ、あるいは電磁波の流れという

ことになる。(P.121)



これだけではよくわかりませんね?

もう少し、解説文を見てみましょう。

放射線には物質を通り抜けることのほかに、「電離」という

性質がある。電離とは、放射線が物質を通り抜ける時に原子

から電子をはじき飛ばすことで、イオン化ともいう。放射線

が人体を通り抜ける時に電離を起こすと、DNAなどにさま

ざまな影響を及ぼす。これが、がんの治療に役立ったり、

放射線による副作用の原因になったりする。(P.122)



ここでキーワードが現れます。アポトーシスです。

アポトーシスとは「細胞の自然死」と言われるものです。

私たちの体の中では、毎日細胞が死滅しています。その現象を

アポトーシスというのです。一方で、新しい細胞が産生されています。


残念ながら、脳細胞は死滅すると、産生しません。

しかし、脳細胞の数は非常に多いので、残った細胞同士が

新たなネットワークを作り、細胞の死滅による機能低下を

補うことができるのです。


「大脳の神経細胞数は約140億個と推定されていますが、

大脳の深い所にある細胞や小脳の細胞を入れると1000〜2000億と

推定されています。」

川上脳神経外科クリニックのホームページから)


放射線はアポトーシスの引き金を引くのだそうです。

ただ、問題は、がん細胞だけでなく、正常な細胞までにも

同様の影響を与えることです。特に影響を受けやすいのは、

骨髄や小腸だそうです。


白血球などの新しい細胞をつくる骨髄の幹細胞が放射線を

浴びると骨髄の壊死などにより、生命にかかわる深刻な

事態を引き起こします。


放射線を集中させる技術が向上し、放射線治療の安全性と

効果を高めたといいます。


がんの種類によって、放射線治療が有効な場合とそうでない

場合があるそうです。小児がんや肺がんには効果があるそう

ですが、胃がんや大腸がんにはあまり効果がないということです。


やっかいなのは、放射線が効きやすいがんでも、サイズが大きい

と効きにくくなるということです。


放射線治療ができる施設は全国に800カ所近くあるそうですが、

その数より医師のほうが少ない、というにわかには信じられない

実態があります。


医師が少ないだけでなく、放射線技師などの専門スタッフも

不足しているのが実態です。


このため、放射線治療をするよりも、手術を行うことが多くなります。

アンケート調査によると、外科医の98%は「手術を行う」

と答えています。(P.142)


さて、次回は「がんは完治するのか?」というテーマで

お伝えします。




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医師看護師薬剤師の味方

Author:医師看護師薬剤師の味方
藤巻 隆(ふじまき・たかし)と申します。

私のメインサイト 本当に役に立つビジネス書 をご覧になったことがあるかもしれません。

今年2013年4月16日で、立ち上げてから12年目を迎えます。

今度は、医師、看護師、薬剤師の方の転職を支援するためにブログを立ち上げました。

より条件の良い職場に移りたいとお考えの方は、一般企業に務められている方も、医師、看護師、薬剤師の方も同じです。

さらに、医学に関するいろいろな情報を掲載し、ブログ閲覧者に資することを目指します。

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